相続対策とは
相続の三大問題
分割問題
日本では原則は遺言による分割が優先されます。
協議による分割 遺言がない場合、または遺言状があっても遺言どおりに分けたくない場合、相続人全員の同意があれば協議によって分割方法を決めることが出来ます。
調停・審判による分割 相続人間で協議がまとまらない場合、家庭裁判所へ調停または審判の申し立てをし分割方法を決めることになります。
●よくある相談例
「姉は海外留学費用や家を建てる際には資金の援助までしてもらったのに、私は地元の大学にしか行かせてもらっていません。相続財産が同じって不公平じゃないですか?」
納税問題
相続財産のほとんどが不動産でまとまった現金がない場合などは、納税のための資金準備が必要です。
●よくある相談例
「そもそも我が家は相続税がかかるの?」
「自宅の不動産しか資産がなくて売ってしまったら住むところがなくなります。 どうやって相続税を払えばいいの?」
節税問題
●よくある相談例
「こんなに税金がかかるなんて!手元に残らないじゃない!事前にできることはないの?」
「借金してアパートを建てると節税になるって聞いたけど本当?」
相続対策
① 分割対策(遺した財産で争わないために)
・相続人間で揉めないためには、「遺言書」の作成が不可欠です。
遺言書には主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」などの形式があります。
自筆証書遺言・・・本人が遺言の全文、氏名、作成年月日を自署します。
費用がかからず手軽に出来るが、遺族は遺言書の存在がわからなかった、変造された、また内容の不備で法的に認められなかったなどのデメリットもあります。
公正証書遺言・・・公証人が本人の口述を公正証書にします。変造や法的不備などの心配はありませんが作成には費用や手間がかかります。
どちらも一長一短ですが、安全確実ということから公正証書遺言をおすすめしています。
・不良資産(貸地・古アパート・別荘など)の整理・整頓
古アパートなど「収益が悪化している不動産」や「売れない・買い手が少ない不動産」「相続税評価の方が売り価格より高い不動産」などは相続が発生したとき負の財産となります。建て替え、リノベーション、処分など早いうちに対策をしておきましょう。
・借金の整理は必須
相続財産に借金がある等の際、相続人は相続放棄や限定承認(相続したプラス財産の範囲でのみ借金返済の義務を負う)が出来ますが、相続放棄や限定承認が出来るのは「相続人が自分のために相続の開始があったと知った時」から3ヶ月以内と決められています。この期間が過ぎてしまうと相続を承認したとみなされ、借金返済の義務を負うことになります。相続人に負の財産を引き継がせないためにも借金の整理をしておきましょう。
また見落とされがちですが「連帯保証人」になっている場合なども、その地位は相続人に引き継がれますので、こちらも整理しておく必要があります。
・生命保険を使った分割対策
保険金は受取人固有の財産であるため相続財産からは省かれるので「誰に」「いくら」残すか決めておくことも出来ます。また自宅など分けられない財産がある時、代償分割(その遺産を相続した物が他の相続人の取り分を金銭で支払う)の資金として利用することも出来ます。
② 納税対策(10か月以内に完納するために)
・生命保険の積極的な活用
生命保険に加入し万一の場合その保険金を納税費用にあてることが出来ます。
・不動産の換金価値を把握
不動産を納税資金にあてようとする場合、そもそもその不動産はどのくらいの価値があるのか?(相続税評価額及び実際の売り値がどのくらいか?)ということと、短期間で売却可能な不動産であるかということを把握しておくことが大事です。
その為には不動産の棚卸しをし、売りにくい物は予め売却しておく、納税用に保持していたい物件は納税期間の10ヶ月以内に売却可能な状態にしておく。(境界の確定や測量などは済ませておく。)などの対策が必要です。
・もしもの時の物納準備
相続税は現金一括払いが原則ですが、期限までにお金で納付することができない場合などには、相続で取得した金銭以外の財産で納付することが認められています。
しかし、物納出来る財産及びその状況などには要件があり、相続税は物納で支払うつもりでいても認められない場合もあります。まずは、その財産が物納として認められるか要件を確認しておくことは必須です
③ 節税対策(遺す資産を少しでも多くするために)
・課税評価を下げるために資産の組換え
相続財産は現金はそのままの金額で課税させますが不動産の場合はその「評価額」によって課税されます。
評価方法の特性を知り、活かしていくことによって大幅な節税効果を得ることができます。
例:現金→不動産
一戸建て→タワーマンション
etc…
・生前贈与を積極的に活用する
非課税枠の110万円/年を使い、出来るだけ長期にわたり多くの人に贈与することで相続財産を減らすことが出来ます。
贈与には税務署だけでなく、他の相続人からも贈与の事実が認められるよう贈与契約書を作成し、銀行口座でお金の動きがわかるようにしておきましょう。
その際、通帳や印鑑は贈与をした人ではなく贈与を受けた人が管理しておかないと贈与と認められません。
・生命保険を積極的に活用する
死亡保険金は相続人1人あたり500万円の非課税枠があります。この非課税枠を活用することにより、「500万円×法定相続人の数」の節税をすることが出来ます。